思い出の絵画

今の主人と出会ったのは美術館でした。
たまたまその日は雨が降っていて、彼が私に傘を貸してくれたのです。
私服ではありましたが、どう見ても年下の学生さんのように思えてなりません。
美術館は閉館の時間で雨宿りは出来ない状況。
バケツをひっくり返したような大雨で、私だけが濡れずに帰るというのがどうしても忍びない。
もしも傘なしで歩けば、数メートルもしないうちにびしょ濡れになってしまいます。
あの時、私も若かったのでしょうね。
「一緒にそこの喫茶店でお茶でもしませんか」自分からお茶に誘うなんてね。
結局、相合い傘で喫茶店にいき、私は紅茶、彼はコーヒーを注文しました。
それからが楽しくて、彼は絵画についてとても詳しかったのです。
私が知らないようなことまで知っていて、質問をすればすべて答えが返ってきました。
趣味が合うとはこういうことを言うんだなと思いましたね。
２人ともダリの絵画が好き。
だから今でも家には、２人で選んだダリの絵画がたくさん飾られています。